25ページ目 老人ホームでキヨピ(祖母)が目の色を変えて喜んだ事とは


あなたは、
老人ホームに何を求めますか?


・生涯の安らげる場所

・ゆったりと安全に過ごせる所

・良質で栄養バランスの良い食事

・他の入居者さんとのコミュニケーション


と言ったところでしょうか?


施設の方も、
そのような事を日々追求し、

末永く安心して余生を過ごせる
努力と工夫をされている事と
思います。


私の祖母(愛称はキヨピー)は、
認知症を患い、
老人ホームに入所する事に
なりました。


入所当初は拒否がとても酷く、
元々、独りで何でも
できてしまった器用な人
だったので、
(他人に面倒をかけるのが大嫌い!)

集団生活に対する違和感や、
食事や入浴など

決められた時間やルールに
慣れるまでに少し時間が
かかってしまっていたようです。


私は一日でも早く
施設に馴染んでもらう為に

あれやこれやといろいろと
頭の中で考えを巡らせ、

思いつくままに
やってみる事にしました。


まず最初に、
部屋にはテレビがなかった為
家電量販店で購入して設置したり、

寝る前にAMラジオを聞く事を
日課にしていたようで、
操作が簡単なラジオを
プレゼントしました。


それから、
殺風景な部屋だったので、
厚手のマットを床に敷いてみたり、

私が写真を撮るのが趣味だったので、
キレイに取れた写真を
大きく引き伸ばして飾りました。

(千葉県のマザー牧場の
 菜の花と桜の写真など)


そして極めつけは、施設の部屋に
小型の仏壇を置いた事です。

キヨピの二人の子供
(私から見て母と伯父)は

二人とも50代という若さで、
他界してしまいました。

そのため仏壇などは、
私の自宅にあるのですが、

頻繁に我が家と老人ホームを
行き来することは難しいので、

仏具屋さんに相談をして、
簡易の仏壇を用意しました。
(最近ではとても小型の仏壇も
 たくさんあります)

ロウソクは電池式の物を購入し、
(ホームでは火気厳禁なので)

お供え物とお茶・お水を
毎日自分で替える事が
できるようにしました。

キヨピも喜んでくれて、
毎日お鈴を鳴らしお茶を変え
手を合わせたり、

仏壇内には、
ホームでキヨピが作った
手作りの物などを
飾ったりしていました。


その後も、いろいろと
快適に楽しく過ごせる事を考えて
物を用意したりしました。


ただ、本人が一番喜んでいたのは
そんな物ではありませんでした。


面会に行っても、
認知症の症状もあると思いますが、

「死にたい 死にたい」
ネガティブな話題になってしまったり、

そうかと思ったら、
とても怒ったりするときも多く
(施設から出て帰ると
 話す事も多々ありました)

精神的に安定しない日々が続きました。


それが、ある日を境に
その雰囲気が一変しました。


それが何かと言うと、

「老人ホームでの
おしぼりたたみの手伝い」

だったのです。


ある日キヨピが、
ホームの
「みんなが集まる共有スペース」で
いつものようにテレビを観ていると、

介護士さんから
「一緒にやってみませんか?」

と声をかけられたそうです。


キヨピは夢中になって、
コロコロとおしぼりを
たたみ続けて、

いつしかそれが
日課になっていきました。


おそらく施設でのキヨピは、
何でもかんでも介護士の方に
やってもらえるよりも、

ごく小さな事でも
誰かの役に立っていると
自身で感じられる事が一番の
喜びだったのではないでしょうか?


これは自分自身にも
言える事だと感じました。

仕事に出て、
そこで貢献する事でお給料を戴き、
家族を養っている。

今はお嫁もパートに
出てくれていますが、

自分自身がしっかり働かないと
という使命感や社会貢献を
していると実感する事が
日々の原動力になっています。

もし仮に、

「明日から仕事にいかなくていい
何もしなくていいから

家にいて好きな事だけ
していていいよ」


と言われたらどうでしょうか?


最初の一週間や
一か月は最高に楽しいと思います。


読みたかった本や映画を観たり、
友人と遊んだり、旅行に行ったり

毎日寝たいだけ寝て、
好きな時間に起きたり・・・


ただ、それがずっと続くと思うと
想像しただけでぞっとします。


人は誰かの役に立っている事で
自分を肯定できる生き物
なのかもしれませんね。


それは自分の事が
全て自分でできなくなってしまって
からも変わらないんだと思います。


いくつになっても誰かにとって
必要な存在でいたい
そんな気持ちを尊重してくれた
老人ホームの介護の方へは
とても感謝しています。


あなたにも、同じ様な経験がきっと
あるのではないでしょうか?


人生の終末を
どこで誰と過ごせるのか?

そして、どのようにして
誰かの役に立てるのか?

日々考える毎日です。


今回は以上です
ではまた

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